ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題に関するアプリケーション開発・研究開発 近未来型ものづくりを先導する 革新的設計・製造プロセスの開発

サブ課題E

新材料に対応した高度成形・溶接シミュレータの研究開発

サブ課題責任者奥田 洋司
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授

概要

高度溶接シミュレーション技術を開発し、溶接工程における溶接順序探索および逆ひずみ量推定の高精度化・高速化を行うことが目的である。平成29年度までの達成目標として、入熱による熱弾塑性解析の計算精度を検証し、数mmのオーダーの溶融条件を考慮した大規模並列計算性能を検証する。平成31年度までの達成目標として、ターゲット問題における部品規模の溶接解析の計算精度を従来アプリと比較し、開発するアプリの優位性を示す。そして、全体規模の溶接解析結果を実験値と比較し、開発するアプリの予測精度を検証する。

取組内容

自動車/重機械フレーム全体規模で溶接工程における永久変形が実用的な時間内に高精度に予測できる高度溶接シミュレーション技術を開発する。

①アセンブリ/接触問題の大規模解析が可能な並列反復法の開発

溶接条件制御や溶融部の水素脆化の評価が可能な高精細メッシュを使用した、自動車/重機械フレームの解析モデル全体と溶融部の一括高精度計算を実現するためのコア技術として、大規模並列マトリックスソルバーを開発する。

②大規模強連成解析手法 ( 熱弾塑性・相変態) の開発

上記①で開発するマトリックスソルバーを利用し、大規模強連成解析( 熱弾塑性・相変態)を実現するとともに、従来の固有ひずみ法の溶接近傍領域を広げることによって計算の高精度化を図る。さらに、高張力鋼板や超高張力鋼板などの新材料に対応した材料構成則を整備し、種々の材料に対応できるようにする。本解析手法は、次世代溶接法( 摩擦攪拌溶接など) にも対応でき、 溶接法自体の高度化にもつなげる。

③プレス成形時のスプリングバックを考慮した溶接解析手法の開発

上記①と②の解析手法によってプレス成形シミュレーションも行うことができる。プレス成形と溶接の一連の工程を解析できるプリ・ポストプロセッサを開発し、プレス成形シミュレーションで得られた計算結果を溶接シミュレーションの初期条件に用いて溶接解析を実現することで、プレス成形・溶接の一連の製造プロセスの高度化を実現する。

期待される効果

開発するソフトウェア

FrontISTR

期待される成果

溶接プロセスの超高精度解析技術の開発により、製造プロセスの高信頼性化・時間短縮に貢献する。